「期待する」と「信じる」の違い

育児のお悩み

「期待していたのに / 信じていたのに 、裏切られた」
似たようなシチュエーションで使われることがあります。

「期待する」と「信じる」は同じと感じる方もおられるかもしれませんが、
私は全く違うと考えています。


先日書いた記事

この記事の中で、「私は子どもに期待しない」とバッサリ書きました。

「えーっ!ちゃんとした人生を歩んでほしいから、しっかり勉強してほしい!」
という方は、ぜひ上の記事も併せて読んでみてくださいね。

私は、これまで日常の中でも
「ちゃんとした大人になってほしい」「テストでいい点とれるかな」など、
無意識に息子に期待してしまっていました。

だけど…期待するのをやめました。

え、放任主義になったんですか?と言われそうですが・・・
違います(笑)
代わりに子どもの事を信じるようにしたんです。

期待とは

[名](スル)あることが実現するだろうと望みをかけて待ち受けること。当てにして心待ちにすること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「期待に応える」、「期待を裏切る」などの言葉があるように、
期待は、期待された人の結果ですべてが決まるのです。

期待に応えれば、期待した人は喜ぶし、
期待に応えられなければ、期待した人は裏切られたと怒ってしまうか悲しんでしまうでしょう。

つまり、期待する人は結果を求めているという事。

オリンピックの代表選手に対する期待

例えば、オリンピックの代表選手にみんなが期待するのは、
いい結果を出してくれるはず!感動する姿を見せてくれるはず!と思っているからですね。

スポーツ選手は、いい結果を出すことが本人の夢であり仕事で、
それがチームや日本の為になり、
子どもたちや様々な人に勇気を与えられると信じ、
自分でその道を選んでいます
だから、期待されて嫌な選手はいないでしょう。
むしろ、期待が原動力になるのでしょうね。

この場合の期待は+に働きます。

子どもに対する期待

一方で、子どもに対する期待はとうでしょう。

自分でその道を選んだスポーツ選手とは違いますね。

以前の私のように、
「立派な大人になってほしい」
「テストでいい点とれるかな」という期待は、親の価値観の押し付けという事に気付きました。

そもそも、テストとは理解しているか確認する為のもの。
テストで100点を取ったから、えらいのではなく、
100点を取れるほど、これまで努力して理解したことが素晴らしい。

もしも50点だったとしても、別になんてことない。
ここが理解できていなかったんだね。それに気づけてよかったね。一緒に考えよう!
と考えるようになりました。

期待していた時は、
「どうしてそんな結果なの!?」という気持ちになっていました。

期待してしまっていた最大の原因は、
これまで、いろんな記事で何度も書いてきたように、
わが子であっても、自分とは別人格である
という事を認識しているつもりでも、きちんと理解できていなかったから。

大切に育ててきたわが子だからこそ、
自分の一部のように思えて、自分の価値観を
押し付けてしまっていたんですね・・・。

だけど、子どもは別人格。
親の価値観を押し付けてはいけないし、
さらに結果
を求めるなんていうのは、本当によくないですね・・・(反省)

では、子どもが道を外れてもいいのか?
という風に思われる方もいるかもしれません。
それは、また別の記事で書きたいと思います。

信じるとは

【1】真実である、また、正しいと思う。信用する。信頼する。「相手のことばを―」「自分の―道を進む」【2】信仰する。「仏教を―」

ベネッセ国語辞典

信じるは、真実、正しいと思う事。
つまり、対象の事柄を自分自身が認めること。
信じている時点で、その結果については想定していない。

たとえ結果がどうであっても揺るがない、
無条件にある確信。

例えば、大げさな話ですが、私たちが住んでいる地球。
みんな地球を信じて生活しています。
隕石がぶつかって、なくなる可能性も0ではありません。
が、そういうことが起こるという結果を想定していません。

結果を想定せず、
今のここにある存在を認める事が信じる事・・・なのかなと思います。

子どもを信じるということは、
「ちゃんとした人生を歩んでほしい」と期待する事ではなく、
「自分の歩む道を自分で選ぶ人間である」と信じる事。

不登校になってしまったとしても、
「いつか学校に行けるよね」と期待するのではなく、
「一生懸命生きているね」と今のその存在を認める事。

何があっても、どんな事が起きても、
子どもが自分で生きる力を信じて、見守る(=応援する)
というのが親の役目なのだと気づきました。

「期待する」と「信じる」の違い

私が思う「期待する」と「信じる」の違い。
一言でまとめると、

期待する・・・結果を求めること
信じる・・・存在を認めること

芦田愛菜さんが、映画「星の子」の完成披露イベントで、信じることについてどう考えるかを聞かれたときに、こう答えています。

 「『その人のことを信じようと思います』っていう言葉ってけっこう使うと思うんですけど、『それがどういう意味なんだろう』って考えたときに、その人自身を信じているのではなくて、『自分が理想とする、その人の人物像みたいなものに期待してしまっていることなのかな』と感じて」

「だからこそ人は『裏切られた』とか、『期待していたのに』とか言うけれど、別にそれは、『その人が裏切った』とかいうわけではなくて、『その人の見えなかった部分が見えただけ』であって、その見えなかった部分が見えたときに『それもその人なんだ』と受け止められる、『揺るがない自分がいる』というのが『信じられることなのかな』って思ったんですけど」

「でも、その揺るがない自分の軸を持つのは凄く難しいじゃないですか。だからこそ人は『信じる』って口に出して、不安な自分がいるからこそ、成功した自分だったりとか、理想の人物像だったりにすがりたいんじゃないかと思いました」

映画「星の子」完成報告イベントにて

スゴイですよね。
考えもしっかりしているし、
わかりやすく説明できるところも本当にすごい。

この記事の冒頭に、
「信じていたのに裏切られた」という言葉を書きました。

これは、まさに芦田さんの言う
「その人の見えなかった部分が見えただけ」であり、
「自分が理想とする、その人の人物像みたいなものに
期待してしまっていた」という事なんでしょうね。


「その存在を認める事」が信じることと気づいた時に、
「子どもには立派な人間になってほしい」とか、
「社会に通じる人になってほしい」とか、
そのために「しっかり勉強してほしい」とか、
そんな親の期待や価値観の押し付けは、不要と気づきました。

自分で考える事ができる年齢になれば、親は子どもが失敗がしないようにと、先回りなんてしなくていいんです。
子ども自身が自分で考えて行動するから、それを認めるべき。

子どもには子どもの人生があります。
人生の選択は子ども自身がするもの。
子どもの選択した道が、親の思った道とは違っていたとしても、
失敗したとしても、つらい思いをしたとしても、
それは子ども自身の大切な学びになります。

(もちろん、命にかかわることや、人に迷惑をかけるなど、
道徳に反する場合には、親はしっかりと教えるべきですが。)

だから、子どもを信じる。

そんな風に思えるのって、家族だけかと思います。
他人に対して、心から信じるって本当に難しい事ですね。

人を信じたい。信じる為には…

人を信じる方法なんてないのかもしれません。だけど、信じたいと思える相手がいるのであれば、読んでみたら、参考になるかもしれません。

自分自身を信じる

人を信じる以前に、自分自身を信じる事もなかなか難しいですよね。なんで自分の事が信じられないのか…

それは、過去に失敗している自分を知っているから。それをダメだと思ってしまうと、自信を失くし、自分自身の事ですら信じられなくなってしまう。

だけど、失敗しない人間なんていません。人間は失敗を経験するから、成長できるんです。

 私たちは、学びの途中です。
今自分はいろいろなことを学んでいるということ、
そして、ダメな部分もあるということを、謙虚に、
そして感謝をもって理解したとき、私たちはありのままの自分、
今ここにいる自分のことを、最大限に信じられるようになるのです。

KADOKAWA「魂を浄化するたった一つの方法」

明日どうなるかわからないと想像してみる

大切な人が生きているだけで、存在するだけでいい。そう思えます。

「最後だとわかっていたなら」
作・ノーマ コーネット マレック / 訳・佐川 睦
https://www.sanctuarybooks.jp/smartphone/sp/saigodatopoem.php

一度読んでみると、大切な人のダメな部分も含め、認めて信じる事ができるかもしれません。

まとめ

親が子どもに期待ばかりしていると、
期待に応えない子どもに苛立ちます。


期待せず、信じる事ができるようになると、
心にゆとりが生まれて、子育てが楽しくなるし、子ども自身も人生を楽しむことが出来るようになります。

この記事を書いた人
hugmum

hugmum(ハグマム)水野さゆ
小学生の息子・娘をもつ二児の母

おひるねアート協会認定講師・petapeta-artアドバイザーとして、子育てイベントを開催、おうちで楽しむ無料素材の制作もしています。
チャイルドコーチングマイスターの資格を所持、子育ての悩みに関する記事も掲載しています。

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